代表的な研究成果

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量子ドット形成技術基盤開発
世界でもっとも均一な光通信波長帯量子ドットの実現
量子ドット発生メカニズムを探索しながら高均一高密度化成長技術を開発している。1.32 μmにて室温発光する高均一な量子ドットを作製、Sbを用いることで10-11cm-2台の高密度化、InGaAs歪緩和層で埋め込むことで1.52 μm付近において15.9 meVという極めて狭い半値幅を持つ量子ドットの形成に成功、また世界で初めて原子レベル分解能の量子ドットMBE成長その場STM観察に成功している。[東京大学]
図1 1.55 μm帯高均一量子ドット
図2 QD成長その場STMフーリエスペクトル

光子制御ナノ構造形成技術基盤開発
GaN量子ドットを用いた単一光子発生器の高温動作
六方晶GaN量子ドットの光物性は、圧電性と焦電性によってドット内部に生じる強い内部電界によって支配されている。蛍光寿命のサイズ依存性や励起子分子の負の結合エネルギーなど特徴的な物性が明らかになってきている。また、非常に大きな閉じこめポテンシャルによって高温まで単一量子ドットからの発光を観測でき、光パルス励起下でポアソン光と比較してパルス列中の多光子発生確率の抑制効果200 Kまで観測した。[東京大学、Stanford大学]
図1 低温蛍光スペクトル
図2 観測した光子相関ヒストグラム

光子制御ナノ構造形成技術基盤開発
InAs結合量子ドットの単一電子分光とスピン状態の検出
自己形成InAs量子ドットは、電子あるいはスピン状態を利用した量子ビットなどへの応用が期待される。我々は縦型の単一電子トランジスタに埋め込んだ自己形成InAs結合二重ドットの単一電子分光を測定し、比較的強く結合した二重ドットにおける分子的電子状態とその磁場中での遷移を初めて明らかにした。また結合がより強い試料ではフント則を観測し、電子スピンのg因子の絶対値が約1であることを確認した。[東京大学]
図1 基底および励起準位の磁場依存性
図2 強結合InAs量子ドットのゼーマンシフト

光・電子制御技術基盤開発
世界最大の閉じ込め効果をもつフォトニック・ナノ共振器の実現に成功
ガウス型光閉じ込めという新しい概念を提唱し、フォトニック結晶を用いて世界最大(従来の10〜 100倍)の光閉じ込め効果をもつ光ナノ共振器の実現に成功した。この成果は、次世代量子通信・情報等の分野において、様々な魅力的な応用の道を開くものと位置づけられる。すなわち、単一光子発生デバイス、光―電子強結合デバイス、光バッファメモリー、各種光チップなど様々なデバイス展開が可能と期待される。[京都大学]
図1 世界最大の閉じ込め効果を持つフォトニック・ナノ共振器
図2 図1の共振器のスペクトル

光・電子制御技術基盤開発
MEMSによるフォトニック結晶の制御に成功
極微小回路などのフォトニック結晶を用いたデバイスは、次世代光通信技術において重要な役割を担うと期待されている。これらのデバイスにおいて、フォトニック結晶の光学特性を制御する技術は極めて重要となる。我々はその制御技術の一つとして、大きな光学特性の変化が容易に得られることが魅力であるMEMSによる制御を提案し、MEMSによるフォトニック結晶導波路の透過率制御を世界に先駆けて実現した。[東京大学、NEC]
図1 MEMS集積化フォトニック結晶導波路素子中心部のSEM写真
図2 印加電圧と透過率消光比の関係

ナノ光・電子デバイス技術基盤開発
冷却や電流調節不要で高速動作する量子ドットレーザを実現
低コスト・低消費電力な光通信用光源として有望な、冷却や電流調節が不要で10 Gb/s高速動作する量子ドットレーザを実現した。10 Gb/s変調波形は電流一定下でも、20 ℃から70 ℃の範囲で出力低下5 %以内、消光比7 dBを維持する。従来の量子井戸レーザでは実現不可能な本特性は、量子ドットの離散準位に由来し、今回p-ドープとドット高密度化により初めて実証した。[東京大学、富士通]
図1 量子ドットレーザの構造
図2 10Gb/s変調特性の温度依存性

ナノ光・電子デバイス技術基盤開発
世界で初めての通信波長帯単一光子発生
単一光子発生器は、安全な通信を可能にする量子暗号のみならず、量子演算システムの要素技術としても重要である。我々は量子通信ネットワーク実現を目指し、通信波長帯における単一光子発生器の研究開発を行っている。現在、量子ドットを用いた単一光子発生素子と計測システムを開発し、ファイバ伝送最も適した波長1.55μmでの単一光子生成に世界で初めて成功した。[東京大学、富士通]
図1 単一光子発生素子
図2 単一光子パルスの強度相関

ナノ光・電子デバイス技術基盤開発
フォトニック結晶ナノ共振器を用いた高効率単一光子発生に成功
量子暗号通信の実用化に向けて高効率単一光子発生器の研究開発が盛んに進められている。我々はフォトニック結晶ナノ共振器による量子ドット自然放出の増強効果と放射モードの変化による外部結合効率の向上を利用し、InAs量子ドットからの高効率な単一光子発生に成功した。この方式では識別不可能な単一光子列を高効率に発生できる可能性があり、量子暗号通信だけでなく量子情報処理にも応用できると期待できる。[東京大学、Stanford大学]
図1 フォトニック結晶ナノ共振器のSEM写真
図2 (a) PC共振器に結合したドットおよび (b) 結合していないドットについての単一光子発生を示す2次の光子相関関数
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